「この二三百年このかたは、祖師の道がすたれたので、そのような徒輩がおお い。そのような徒輩が寺院の主となり、師号を称して、衆をみちびいているが、これは世のためにまったく不幸なことである。いまや天下の諸山は、道心のものは全くなくなり、得道のものは久しく絶えて、ただ破落のようなやからばかりである。先師がそのように説きたまうと、諸方のみだりに長老の名を称するやからは一言の不平もいえず、弁解もできなかった。かくて知らねばなまらない。長髪は仏祖のいましめるところであり、長爪は外道のなすところである。仏祖の末流をくむものは、そのような非法を好んではならない。身心は浄らかしめねばならない。」

原文「近来二三百年、祖師道廃せるゆゑに、しかのごとくのともがらおほし。かくのごとくのやから、寺院の主人となり、師号に署して、為衆の相をなす、人天の無福なり。いま天下の諸山に道心箇渾無なり、得道箇久絶なり。祇管破落党のみなり。かくのごとく普説せるに、諸方の長老の名をみだりにせるともがら、うらみず、陳説なし。しるべし、長髪は仏祖のいましむるところ長爪は外道の所行なり。仏祖の児孫、これらの非法をこのむべからず。身心をきよからしむべし。剪爪剃髪すべきなり。」