「袈裟の功徳」「世尊は比丘たちに告げていった。「わたしは往昔宝蔵仏のところにあったころ、大悲菩薩と称した。そのとき大悲菩薩は、宝蔵仏のまえにおいて、願を発していった。「大徳よ、わたしが成仏しおわった時、もしわたしの法によって出家し、袈裟をつける者があったならば、たとい彼が重き戒を犯し、あるいは邪見をおこし、あるいは三宝を軽んじて信ぜず、その他もろもろの罪を負うものとなっても、なおふと思いいでて、恭敬の心をおこし、大衣を尊重し、あるいは仏・法・僧を尊重することもありましょう。陀得ょ、もしそのような衆生が、ただ一人でも、三乗において記別を受くることをえず、退転するようなことがあらば、それは、十方世界の数かぎりなき仏たちを欺くものであって、けっして最高の智慧を成就したものとは申せますまい。」

原文「世尊告大衆言「我往昔存宝像仏所時、為大悲菩薩。爾時大悲菩薩摩訶薩、在宝像仏前、而発願言、「世尊、我成仏巳、若有衆生入我法中出家、著袈裟者、或犯重戒、或行邪見、若於三宝軽毀不信、集諸重  罪。比丘、比丘尼、優婆塞・優婆夷、若於一念中、生恭敬心、尊重僧伽梨衣、生恭敬心、尊重世尊或於法僧る世尊、如是衆生、乃至一人、下於三乗得受記莂、而退転者、則為欺誑十方世界、無量無辺阿僧祇等、現在諸仏。必定阿褥多羅三藐三菩提。」