「優波離はまた世尊に問うていった。「大徳世尊よ、僧伽胝衣にはどんな種類がありましわうか」仏はいった。「三種かある。上・中・下である。上とは縦三肘、横五肘、下とは縦二肘半、横四肘半、その二者野あいだを中となす」優波離はまた問うていった。「大徳世尊ょ、嗢咀羅僧伽衣(上衣)の条数はいくらでありましょうか。仏はいった。「ただ七条のみである。段の幅は二長一短である。」優波離はまた問うていった。「大徳世尊よ、その七条にはまた幾種ありましょうか」仏はいった。「それには三品がある。上・中・下である。上とは縦縦三肘横五肘、下とはそれぞれ半肘を減ずる。其の間を中となす」優波離ははまた申していった。「大徳世尊よ、安咀婆婆衣(内衣)の条数はいくらでありましょうか」仏はいった。「五条である。段の幅は一長衣短である。」優波離はまた申していった。「安咀婆婆衣にはまた幾種類ありましょうか」仏はいった。「安咀婆婆衣に三品がある。上・中・下である。上とは縦三肘横五肘である。中と下もまた同じである。」(仏はいった。安咀婆婆衣にはまた二種がある。何をか二となすや。一には縦二肘、横五肘、二には縦横四である。僧伽胝とは訳して重複衣となす。嗢咀羅僧伽とは役して上衣となす。安咀婆婆とは訳して下衣てなす。またいう。僧伽梨衣とは大衣である。また入王宮衣・説法衣という。欝多羅僧とは七条衣である。また中衣・入衆衣という。安陀会とは五条衣である。また小衣・行道作務衣という。)この三衣のことは、かならず守らねばならなぬ。また大衣には六十条の袈裟があるという。これも承知しておくがよい。(道元:正法眼蔵・袈裟功徳)
原文「鄥波離、復白世尊曰く、「大徳世尊、有幾種僧伽胝衣」仏言「有三種謂上中下。上者豎三肘、横五肘、下者豎二肘半、横四安咀婆婆衣、二内名中」鄥波離、復白世尊曰「大徳世尊、嗢咀羅僧伽衣、条数有幾」仏言う「但有七条、壇隔両長一短」鄥波離、白世尊曰、「大徳世尊、七条復有幾種」仏言「有其三品、謂上中下。上者三五肘。下者各減半肘。二内名中」鄥波離、白世尊曰く「大徳世尊、安咀婆婆衣、条数有幾」仏言う「有五条、壇隔一長一短」鄥波離、復白世尊言「安咀婆婆衣有幾種」仏言「有三、謂上中下。上三五肘。中・下同前」(仏言、安咀婆婆衣、復有二種。何為二。一者豎二肘、横五肘。二者豎二、横四。僧伽胝者訳為重複衣。。嗢咀羅僧伽者、訳為上衣。安咀婆婆者、訳為内衣。又云、僧伽梨衣、謂大衣也。又云、入王宮衣、又云、説法衣。欝多羅僧、謂七条衣也。云、中衣、又云、入衆衣。安陀会、謂う五条衣也。云、小衣、又云、行道衣、作務衣)この三衣、かにらず護持すべし。また僧伽胝に六十条の袈裟あり、かならず受持すべし。」