「在家の人々でも、袈裟をもつことは、大乗の大事な秘訣である。いまでは梵天王も天帝釈もみな袈裟を諸事しているおるという。それは人天の世界のすぐれた範例であって、人間世界では考えられないところである。また、在家のすぐれた人々もみな袈裟を受持したものである。中国では、梁の武帝や随の煬帝もそうであった。唐の代宗や粛宗も、みな袈裟を受持し、僧にまなんで菩薩戒をうけた。そのほか居士や女人にして、袈裟を受け、五戒をもった人肥土もすくなくない。古今のよき模範である。(道元:正法眼蔵・袈裟功徳)
原文「在家の人天なれども、袈裟を受持することは、大乗最極の秘訣なり。いまは梵王・釈王、ともに袈裟を゛ゅじせり。欲色の勝躅になり、人間には勝計すべかにーらず。在家の菩薩、みなともに受持せり。震旦国には、梁の武帝や随の煬帝、ともに袈裟を受持せり。代宗・粛宗ともに袈裟を著し、僧家に参学し、菩薩戒を受持せり。その余の居士・婦女等の、受袈裟・受仏戒のともがら、古今の勝躅なり。」