「つらつら釈尊の在世のころを思いみれば、それはほぼ三千余年のまえのことであって、いまに伝わる国宝や神器には、それよりも古いものはすくなくない。この仏法も仏衣もそれより新しいものである。また、たとい此処彼処と移ろうこと幾度であろうとも、その利益はなお勝れれたものであろう。国宝や神器にもその徳はあらたかであろうが、この仏衣の徳はそれらと同じではないはずである。それらは正しい嗣ぎ手によって伝えたものではないが、これは仏から仏へと正伝されたものである。」
原文「つらつら釈尊在世をおもひやれば、わづか二千余年なり。国宝神器のいまにつたはれるも、これよりもすぎてふるくなれるもおほし。この仏法・仏衣は、ちかくあらたなり。若田若里に展転せんこと、たとひ五十転転なりとも、その益これ妙なるべし。かれなほ功徳あらたなり、この仏衣かれとおなじかるべからず。かれは正嫡より正伝せず。これ正嫡より正伝せり。」