「仏衣の種類2」「わが大師釈迦牟尼如来は、正法の眼晴たる無上の悟りを摩訶迦葉に授けるにあたり、仏いとともにそれを伝授した。それより仏々祖々に相伝して、曹谿山の大鑑禅師にいたるまで、じつに三十三代である。其の布も色も寸法も、じきじきに見、じきじきに頂いて、その家門に伝えきたり、いまなお受持されているのである。詮ずるところ、五家の祖師がたがそれぞれに受持するところはその正伝である。あるいは五十余代、あるいは四十余代と、それぞれ師から弟子へと乱れるところなく、先仏の法によって着用し、先仏の法に従って製作する。それもまた、仏と仏むのあいだのぴたりとした相伝であって、代に代をかさねて依然としてあらたである。(道元:正法眼蔵)

原文「わが大師釈迦牟尼如来、正法眼蔵無上菩提を摩訶迦葉に附授するに、仏衣とともに伝授せりしより、嫡嫡相承して、曹谿山大鑑禅師にいたるに、三 十三代なり。その体・色・量を親見親伝せること、家門ひさしくつたはれて、受持いまにあらたなり。すなはち五宗の高祖、おのおの受持せる、それ正伝なり。あるいは五十余代、あるいは四十余代、おのおの師資みざることなく、先仏の法によりて搭し、先仏の法によりて製することも、唯仏与仏の相伝し証契して、代代をふるにおなじくあらたなり。」