「仏衣の種類4」「仏はいった。「もし衆生があって、わたしの法の中に入り、あるいは重き戒を犯し、あるいは邪見におちても、なおふと思いいでて、恭敬の心をおかし、僧伽梨枝を敬重するならば、諸仏おゆびわたしは、その人が火ならず三乗において、まさに仏になることをうるであろうと預言する。またもし、あるいは天、あるいは龍、あるいは人、あるいは鬼にしてよくむ袈裟の小片の功徳を尊重するならば、その者はたちまち三乗において不退転となるであろう。もしまた、鬼神およびもろもろの衆生があって、よく袈裟の小片四寸ばかりのものを得れば、たちまち飲食ゆたかとなることをうるであろう。またもし、衆生ありてたがいに相争い、邪見におちようとしていても、よく袈裟を念ずれば、袈裟の力によって、やがて悲心を生じ、ひるがえって清浄となることをうるであろう。もしまた、人ありて兵陣にあり、この袈裟の小片を持して、恭敬尊重するならば、かならず解脱をうることができるであろう」(道元:正法眼蔵)

「原文」「仏言「若有衆生、入我法中、或犯重罪、或墜邪見、於一念中、敬心尊重僧伽梨枝、諸仏及我、必於三乗授記。此人当得作仏、若天若龍、若人若鬼、若能恭敬此人袈裟少分功徳、即得三乗不退不転。若有鬼神及諸衆生、能得袈裟乃至四寸、飲食充足。若有衆生、共相違犯、欲墜邪見、念袈裟力、尋生悲心、還得清浄。若有人、在兵陣、持此袈裟少分、恭敬尊重、当得解脱」