「仏衣の種類5」それによっても、袈裟の功徳が比すべきもののない、不思議なものであることが知られる。それを信受し護持するところには、かならず、成仏の予言をうることもあるであろうし、不退転の境地をうることもできるであろう。ただに釈迦牟尼仏のみではない。一切の諸仏もまたそのように説いているのである。知るがよい、もろもろの仏の肉身のすがたはすなわち袈裟なのである。だから、仏はまた「まさに悪道に墜つべき者は、僧伽梨をいといにくむ」という。もし袈裟を見、あるいは袈裟のことを聞いて、それで厭わしい念がおこったならば、これは悪道に墜つべきわが身であろうかと、悲しみの心をおこし、心に恥じて懺悔するがよい。」(道元:正法眼蔵伝衣)
原文「しかあればしりぬ、袈裟の功徳無上不可思議なり。これを信受護持するところに、かならず得授記あるべし、得不退あるべし。ただ釈迦牟尼仏のみにあらず、一切諸仏またかくのごとく宣説しましますなり。しるべし、ただ諸仏の体相、すなはち袈裟なり。かるがゆゑに、仏言当堕悪道者、厭悪僧伽梨。しかあればすなはち、袈裟を見聞せんところに、厭悪の念おこらんには、当墜悪道のわがみなるべしと、悲心を生ずべきなり。慚愧懺悔すべきなり。」

