「仏衣の種類7」さらにいうならば、釈迦牟尼仏がはじめて王宮をいで、山に入ろうとした時には、樹神が僧伽梨衣の一乗をかかげて、釈迦牟尼仏に「この衣を頂いておれば、もろもろの魔性のまどわしを免れるでありましょう」といった。そこで釈迦牟尼仏はその衣をうけ、十二年のあいだ、頂きささげてしばらく措くことがなかったという。それは「阿含経」などに説くところである。」(道元:正法眼蔵・袈裟功徳)

原文「いはんや釈迦牟尼仏、はじめて王宮をいでて山にいらんせし時、樹神ちなみに僧伽梨一条を挙して釈迦牟尼仏ににもうす、この衣を頂戴すればもろもろの魔嬈をまぬかるるなり。時に釈迦牟尼仏、この衣をうけて、頂戴して十二年をふるに、しばらくもおかずといふ。これ阿含経の説なり。」