「袈裟の着用の仕方」「偏袒右肩、すなわち、片肌ぬいで、右肩をあらわすのが、つねの法である。通両肩搭、つまり、両肩ともに搭ける法もある。そのときには、衣の両端をともに右の肘にかさねる。前の端を表にし、後の端を裏にして重ねる。前の端を表にし、後の端を裏にして重ねるのである。仏は説きにそのような服装をされた。それは、小乗の聖者たちの見聞し相伝するところではない。もろもろの小乗の経典には言及されていない。」(道元:正法眼蔵正法眼蔵)

原文「搭袈裟法 偏袒右肩(へだんうけん)は常途の法なり。通両肩搭(つうりょうけんとう)の法もあり。両端ともに左の臂肩(ひけん)にかさねかくるに、前頭を表面にかさね、後頭を裏面にかさぬること、仏威儀の一時あり。この儀は、諸声聞衆の見聞し相伝するところにあらず、諸阿芨摩教(しょあぐまきょう)の経典にもらしとくにあらず。」