坐禅の功徳4「しかるに、そのような悟りは、またひるがえって気の付かないうちにも、何時しかお互いに相助ける道が通じているのである。だから、坐禅する人は、かならず、古い身心4をばっとな脱げすて、これまで抱いていた知見や思量もきっぱりと裁ち切って、ついに本物の仏法に会うことができるし、また、そこでひるがえって、数限り無い仏たちの道場にあって、仏事を修する人々を助けて、あるいは仏の道をのぼりゆく機縁をあたえ、あるいは仏の道をさらにすすむことを激励する。」(道元:正法蔵)

原文「これらの等正覚、さらにかへりてしたしくあひ冥資するみちかよふがゆゑに、この坐禅人、確爾として身心脱落し、従来雑穢(ぞうえ)の知見思量を裁断して、天真の仏法に証会し、あまねく微塵際そこばくの諸仏如来の道場ごとに、仏事を助発し、ひろく仏向上の機にかうぶらしめて、よく仏向上の法を激揚す。」

冥資とは冥々のうちにおいて助けるの意。微塵際とは数限りないの意。