「ただ、まさに知るがよい。こり七仏以来のすばらしい教えは、道を悟り、心あきらかなる師匠によって、その心は契い、悟りに入ることを得たる修行者が正伝をうける、そのときはじめてぴたりとその意味を受領することができるのであって、文字によって学ぶ学僧たちのとうてい知り及ぶことのできるところではない。だからして、このような迷いは捨てて、ただ正しき師の教えにより、坐禅して道をまなび、諸仏のみずから楽しんでおられる自受用三昧なる境地を、わが身をもって悟りとるがよいのである。(道元:正法眼蔵)
原文「ただまさにしるべし。七仏の妙法は、得道明心の宗匠に、契心証会の学人あひしたがうて正伝すれば、的旨あらはれて稟持せらるるなり、文字習学の法師のしりおよぶべきにあらず。しかあればすなはち、この疑迷をやめて、正師のをしへにより、坐禅弁道して諸仏自受用三昧を証得すべし。」

