「仏衣の布材6」「あるいは、天人のおしえによって仏衣を改めるという者もあるが、もしそならば、天上の仏となることを念がうがよろしい。それとも、天の神々の仲間にでもなったのであるか。仏弟子たものは、仏法を天の住みびとのためにも説くがよい。道を天人に問うべきではない。仏法の正伝のないのは、かくも憐れなものなのである。天の住みびとと仏の弟子たちの考え方は、いろいろと相異なっているが、天の住みびとは下って正法を仏弟子に問う。そのゆえは、仏の考えかたと天の考えかたとでは、はるかに相異なっているからである。」(道元:正法眼蔵)

原文「あるいはいふ、天人のおしへによりて仏衣をあらたむと。しかあらば、天仏をねがふべし。又天の流類となれるか。仏弟子は、仏法を天人のために宣説すべし。道を天人にとふべからず。あはれむべし、仏法の正伝なきは、んくのごときなり。天衆の見と仏子の見と、大小はるかにことなることあれども、天くだりて法を仏子にとぶらふ。さのゆゑは、仏見と天見と、はるかにことなるがゆゑなり。」