「また、その照はおのずから妙であるから、毛筋ほどの兆もないという。毛筋などといっているか、それはこの世界のことごとくをいっておる。それなのに、おのずから妙であり、みずから照すのであるから、光りなどはどこにもないようにみえる。だがも見えないとて目をあやしんではならぬ。光りは見えるはずであると聞いて、その耳を信じてはいけない。「言外にむかってじきじきにその本源をたずねるがよく、言中むかってその規定をもとめてはならぬ」というが、いまいうところの照はそれである。だから類いがないのであり、だから捉えることができないのである。それを不思議として伝えきたり、それをその通りとして頂いてきたのに、わたしだけ拒んで疑っているのであろうか。」

原文「其照自妙、曾無毫忽之兆。毫忽といふは、尽界なり。しかあるに、自妙なり。自照なり。このゆゑに、いまだ将来せざるがごとし。目をあやしむことなかれ、耳を信ずべからず。直須旨外明宗(じきしゃしがいめいしゅ)、莫向言中取則(まくこうげんちゅうしゅそく)なるは照なり。このゆゑに無遇なり、このゆゑに無取なり。これを奇なりと住持しきたり、了なりと保任しきたるに、我却疑著(がきゃくぎじやく)なり。」