「また、ある者は、もろもろの仏たちはただ人間の世にのみ現れるものであって、その他の世界には出現しないという。もしそのいうようならば、仏のまします処は、ただ人間の世界だけであろうか。それは人間のひとりよがりのいい方である。そのほか、天界の仏もあろう、仏界の仏もあるべきである。諸仏はただ人の世にのみ出現するなどというのは、いまだ仏祖の堂奥に入らぬもののいうことである。」(道元:正法眼蔵・行仏威儀)

原文「あるいはいふ、ただ人道のみに諸仏出世す、さらに余方余道に出現せずとおもへり。いふがごとくならば、仏在のところ、みな人道なるべきか。これは人仏の唯我独尊の道得なり。さらに天仏みあるべし、仏仏もあるべきなり。諸仏はただ人間にみに出現すといはんは、仏祖の閫奥(こんおう)にいらざるなり。」(道元:正法眼蔵・行仏威儀)