「神通の妙用」「洞山の悟本大師が、かって雲厳の無住大師に侍しておった時、雲厳が問うていった。「良价よ、そなたの神通の妙用はどんなものじゃ」その時、洞山はっと起って、両手を交え合わせて、師の前に立った。雲厳がまた問うとていった。「いったい洞山の妙用とは、どんなものじゃ」すると洞山は、うやうやしくその前に頭をさげて、そして出て行った。この消息は、まことに神通という言葉をうけてその意をえたものであり、神通の言葉と事実がぴたりと合っている。まさに、この弟子あって神通は退転することなく、この祖師あってその妙用は最高であると知らねばならぬ。いたずらに思い迷うて、外道や小乗の徒のそれと比すべきではない。」(道元:正法眼蔵・神通)
原文「洞山悟本大師、そのかみ雲厳に侍せりしとき、雲厳とふ、「いかなるかこれ价子(かいすが)神通妙用」ときに洞山、叉手近前而立。また雲厳とふ、「いかならんか神通妙用」洞山ときに珍重而出。この因縁、まことに神通の承言会宗なるあり、神通の事存函葢合なるあり。まさにしるべし、神通妙用は、まさに児孫あるべし、不退なるものなり。まさに高祖あるべし、不進なるものなり。いたづらに外道二乗にひとしかるべきとおもはざれ。」(道元:正法眼蔵・神通)

