「洗面をおわって、やっと坐ったところに、香厳がやってきた。大潙はいった。「いましがた、わしは、慧寂と、一場の神通を行じていたところだ。ちっぽけな神通ではないぞ」といった。香厳はいった。「わたしは、あちらの室にありまして、よく判りましたむ大潙はいった。「では、そなた、こころみに言ってみるがよい」すると香厳は、一椀の茶を点てて来た。大潙は褒めていった。「そなたたち二人の神通の智慧は、はるかに舎利弗・目連よりもすぐれている。」(道元:正法眼蔵・神通)
原文「洗面しをはりてわづかに坐するに、香厳きたる。大潙いはく、「われ適来寂子と一上の神通をなす、不同小小なり」香厳いはく、「智閑下面にありて、了了に得知す」大潙いはく「子(なんじ)こころみに道取すべし」香厳すなはち一椀の茶を点来す。大潙ほめてはく、「二子の神通智恵、はるかに鶖子(しゅうじ)・目連よりもすぐれたり。」(道元:正法眼蔵・神通)
「不同小小とは、小小に同じから頭である。あれやこれやの小さな神通とはちがうという」「「鶖子は舎利弗のこと」「下面とは次の室」

