「では、まず、足のかかととは、何をいっているのか究明してみるがよい。究明してみるというのは、正法の眼目をいうのか、虚空をいうのか、大地をいうのか、生命をいうのであるか。また、足のかかとには幾箇あるのか、一箇であるのか、半個であるか、それとも百千万箇あるものか。そんにふうに努めて学ぶがよいのである。また、その足かかととは、まだ地についていないという。その地というのは、」いったいどんなものか。いまの大地というのは、一般の人々の所見にしたがって、いちおう地といっておるだけのことで、さらに所見を異にすれば、あるいは不可思議な解脱の境地とみるものもあり、あるいは三世諸仏の行ずるところとみるものもあろう。(道元:正法眼蔵・古鏡)
原文「脚跟といふはいづれのところぞと問取すべきなり。脚跟といふはなにをいふぞと参究すべし。参究すべしといふは、脚跟とは正法眼蔵をいふか、虚空をいふか、尽地をいふか、命脈をいふか。幾箇あるものぞ、一箇あるか、半個あるか、百千万箇あるか。恁麼勤学すべきなり。未点地在は、地といふは是什麼物なるぞ。いまの大地といふ地は、一類の所見に準じて、しはらく地といふ。さらに諸類あるいは不思議解脱法門とみるあり、諸仏諸行道とみる一類あり。(道元:正法眼蔵・古鏡)

